新年のごあいさつ

代表理事組合長 矢羽田正豪

謹んで新春のお慶びを申し上げます。
農家・組合員・地域の皆様方には輝かしい新年をお迎えのことと拝察いたします。旧年中は農協運営そしてそれぞれの事業に対し格別のご理解とご協力を賜り心より感謝とお礼を申し上げます。
昨年の年明けと同時に新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。春の第一波、夏の第二波そして冬の第三波と、日本そして世界全体が深く傷つきました。いまこの挨拶文を書いている時点でも死者数は160万人を超え、経済は大恐慌以来で最悪の状態に陥ってきました。新型ということもありましょうが、WHO(世界保健機関)はじめ関係機関の感染症対策の貧弱さも露呈しています。そうした中でもワクチンの開発、生活の有り方、事業の見直しなど苦難を乗り越えようとする動きも始まっています。また複数の国や地域の間で、人やモノやサービスが行き交う自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)なども近年は次々と締結がすすめられています。平成30年12月には米国を除いた11ヶ国が環太平洋経済連携協定(TPP)、平成31年2月には欧州連合との経済連携協定(EPA)、令和2年1月1日には日米物品貿易協定(TAG)が、そして昨年の11月15日には東アジアの地域的な包括的経済連携協定(RCEP)に15ヶ国が署名しました。このような貿易交渉により日本の農業は大きな市場開放にさらされることとなっています。更には、品種登録済みの品種(登録品種)の海外流出の防止を目的とした種苗法改正案が昨年末に可決されています。この改正案は農家の自家増殖にも許諾性の規制がかけられており、「種苗の権利」や「食料主権」に関る内容を含んでいるため、幅広い利害関係の心配も残されています。次に気になるのは米大統領です。昨年11月3日に投開票の大統領選は民主党のバイデン前副大統領が、共和党で現職トランプ大統領を接戦のうえ当選を確実にしています。予定どおりに政権移行がすすめば1月20日には新大統領の就任式となります。日本農業は、いつの時代も米国の政権に左右されてきました。TPPもそうでした。2009年から民主党のオバマ前大統領は日本に環太平洋連携協定(TPP)への加盟を要請してきました。さらに在日米国商工会議から政府宛ての要望書を基にして農協法の改正をすすめたのです。論点となった米国からの要望は、①JA全中を廃止し監査部門を分離すること②農協の金融部門と経済部門を分離し、金融部門は金融庁の監査下に置くこと等であり、この狙いは農協組織を自由化し、金融部門、経済部門を独立させて農協マネーの対外流失を促進することでした。私たち大山農民は昭和、平成そして令和へと、貧しかった時代から「坂の上の雲」を目指してひたすら歩み続けてきました。成功したところは、皆さん夢とそれを必ず成し遂げるという強い情熱を持っています。昭和36年「田んぼに梅を植えましょう。畑に栗を植えましょう」の梅栗運動が始りました。今年は60年となります。人の一生で語れば「還暦」を迎え賀寿のお祝いです。「白寿」99歳を迎えるために、活力ある再生プロジェクトもスタートします。また農家高齢者の方々も給与プラス年金で豊かに安心して暮らせる老後の生活保障のため「地域集落文産農場」も更にすすめてまいります。夢が必要です。夢や希望がなければ意欲は湧きません。農協という組織を鍛え、人を育て、モノづくりの心を育て、子や孫の時代に豊かで暮らしやすい農村を引き継いでいきます。
最後になりましたが、皆様のご健勝とご多幸をお祈りし、新しい年が稔り多い幸福と繁栄の年となりますよう願っています。
本年もご交誼のほど賜りますようお願い申し上げ新年のご挨拶といたします。