雄大な景観「ワイン城」と「六花の森」

北海道に入り3日目、6月24日(金)ホテル帯広東急インを出て、車で40分程のところにある十勝・池田町に向かった。池田町は昭和32年に若者に推され町長になり辞任するまでの20年間、アイデアを駆使して、当時、赤字財政と過疎に悩んでいた同町を、国政をもつき動かす衝撃的な自治体に変貌させワイン町長として、その名を全国に轟かせた丸谷金保氏の住んでいる町です。
最初のころは北海道内の人でも「その町どこにあるの?と必ず問われさびしい思いをした」と語っていました。そんな池田町を住民と一体となり、地方自治の原点に立ち帰りユニークな町づくりをすすめたのです。昭和37年に町中の畑にブドウを植えることを提案して全町あげてのブドウ・ブームになったのですが、翌々年には大冷害に見舞われ、ブドウ畑は全滅となりました。貧しかった私たち大山町の梅栗運動と時期は重なり同情と共感を覚えます。丸谷町長もそんな厳しい条件の中でも試行錯誤しながら、偶然にも町の山野に自生する山ブドウが貴重なアムレンシス系であることを知ります。調べていくと「アムレンシス系のブドウはロシアのアムール川流域が原産地、醸造用の品種であり、良質のワインとなる」ことがわかり、このことからワインつくりに夢を膨らませていきます。そして自治体として始めて果実酒類試験製造免許が条件付きで交付され、ワインつくりがスタートします。ワインの名称は「十勝ワイン」そのワインも人気が出て売れ出し、最初に建てた醸造所も手狭となり「もっと本格的な工場をつくろう」と昭和49年には総事業費6億3千万円(当時、現在では倍はかかるでしょう)をかけ、町を見おろす小高い丘陵地帯に現在の地下1階、地上3階の醸造とビン詰工程の工場、売店、3階レストランが建設されました。そのたたずまいが洒落ていて、まるで中世ヨーロッパのお城そっくりですから、通称の呼び名は「ワイン城」です。丸谷さんとは以前に数回お会いして飲食を共にして歓談したこともありましたので、係の人に名刺を出して丸谷元町長にお会いしたいと連絡をお願いしましたが、残念ながら当日は町外に出られてお会いすることはできませんでした。以前、お会いしたとき語られた言葉が今も頭に残っています。「この世に、ホラや夢がなくちゃ、つまらないではないか」そのワイン町長も数年後には鬼籍に入れられたと聞いています「ワイン町長に献杯」。
城内全体の案内と視察を終え、池田の美味しいワインを試飲して些少のワインとハム・チーズなど託配便にお願いして次の訪問地、丘の上の花園「十勝ヒルズ」です。ここは野菜や果樹などをテーマとしたガーデンでした。昼が近くなり六花亭が運営している「中札内美術村」訪問です。柏の木が生い茂る約4万5千坪の原生林の中に「相原求一郎」「小泉淳作」「北の大地」そして彫刻が展示されている「夢想館」という4つの美術館。更に四季折々の地元家庭料理レストラン「ポロシリ」絵ハガキ、グッズ、お菓子、和食器など販売している売店「柏林」6つの素敵な建物が贅沢に点在してます。小田社長にお会いするのは次回となります。

雄大な景観 六花の森