新年のご挨拶

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 農家・組合員、地域の皆様方には輝かしい新年をお迎えのことと拝察いたします。旧年中は農協運営そしてそれぞれの事業に対し格別のご理解とご協力を賜り心より感謝とお礼を申し上げます。

 昨年までのコロナ自粛が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスの感染症拡大は出口の見えない状況が続いています。更にロシアのウクライナ侵略が勃発し、小麦をはじめとする穀物価格、原油価格、化学肥料などの高騰がすすみ、食料やその農業生産資材の調達への不安は深刻の度合いを強めています。日本の食料自給率は38パーセントで残り62パーセントは海外から輸入する食料に頼っています。このように食料自給率の低い国は、改めて「食料安全保障」を重視しなければならない時代に入りました。食料安全保障とは、「すべての人々が、常に、物理的、社会的、経済的に、活動的で健康な生活のために、食の趣向と食事のニーズを満たす十分かつ安全で栄養のある食料を入手できることを意味する」と国連食糧農業機関(FAO)は定めています。今突き付けられている現実は、食料、種子、肥料、飼料などを海外に過度に依存していては国民の生命は守れないということです。コロナ禍とウクライナ危機は、わが国の食料安全保障の重要性を浮き彫りにしました。日本は条件に恵まれない不利な中山間地域が多く、中心的な大規模農家に農地を集約したとしても集落や地域を守っていくことはできません。まずは家族農業や小農の支援に力を注ぎ、日本農業と農村を立て直し食料自給率を引き上げることです。農林水産省が昨年5月に策定した、環境負荷低減を目指した「みどりの食料システム戦略」が先の通常国会において、みどり戦略を推進する新法として成立しました。新法は環境負荷低減に取り組む農家を認定し、税制や融資で支援するものです。

主要目標として、2050年までに①有機農業の面積を全農地の25パーセントに拡大②化学肥料の使用量を30パーセント減らす③化学農薬の使用量を半減することを掲げています。大山はすでに50年前より取り組んできている施策であり、改めて先人の掲げてきた大山独自の先取りに感謝すると共に敬意を表します。そして小量生産、多品目栽培、高付加価値販売という基本理念も中山間農業にとっては間違いではありません。これからも引き継いできた品種作物を深く掘り下げると共に、高度な栽培と味の追究を求めていかなければならないと存じます。大山は「モノを売るのではなく、心を売る」という思想・理念が継承され協同の精神と力を生み育んできました。それを支えていただいています、お取引先様や農産品をご利用くださっている都市生活者の皆様方に感謝せずにはいられません。そのような方々とは「血縁を超えた親戚付き合い」をさせていただいています。

 農協は地域で何ができるか、を基本理念として農家組合員の所得の増大と生活の暮らしの豊かさを求めて、次世代に豊かな夢おおき農村を引き継いでまいります。

 最後になりましたが、皆様方のご健勝とご多幸をお祈りし、新しい年が稔り多い幸福と繁栄の年となりますよう願っています。本年もご交誼のほど賜りますようお願い申し上げ新年のご挨拶といたします。