朝の言葉

組合長エッセイ9月号

先月号で「歴史を学ぶ」と「歴史に学ぶ」の言葉と意味の違いを綴りました。

良い機会でありますので、大山町農協の毎日の朝礼で全員が声を合せて復唱しています、「朝の言葉」について述べてみます。

 朝礼は一週間ごとに週番担当が変わります。先ず担当が各部所の出勤者を確認して、その日の行事予定を報告します。そのあとに各担当者より伝達事項等があればお知らせします。週の始りには一週間の行事予定を報告しています。次に一般社団法人倫理研究所が毎月発行しています「職場の教養」という冊子の朗読です。冊子に書かれた内容は基本的に「企業に倫理を、職場に心を、家庭に愛を」を軸に置いた幅広いものです。一日の文言が約400字で綴られ、1ヶ月分が掲載されてますので、その日の綴られた文言を朗読します。この職場の教養という冊子については、50数年の長いお付合いをいただいてます、お菓子の菊家会長、斎藤智氏(現在92歳)が20年ぐらい前に来所して、「是非この仕組みを取り入れて職場の倫理活性化と人間学に役立てて下さい」と強く推奨されたのです。当時、斎藤会長は大分県倫理法人会会長の任にありました。この職場の教養という冊子はいま全国の会員に200万部を毎月発行しています。取組みの姿勢や理解の仕方で大きく成果は変わってくると思います。私は斎藤会長より良き道標となるものを紹介していただいたと感謝しています。このあとに続いて、「いらっしゃいませ。ありがとうございました。お先に失礼します。」と合唱して大山独自の「朝の言葉」を全員で復唱します。月曜日から土曜日までの言葉は次のとおりです。

(月)自分の仕事に創意工夫を加え確実に実行します。

(火)親切丁寧笑顔を忘れません。

(水)言葉づかいをよくします。

(木)親しまれ信頼される職員になります。

(金)職場をきれいに私も清く美しくします。

(土)整理と反省と計画をします。

この「朝の言葉」は、当時の矢幡治美組合長より指示を受けて、総務部長であった森陸次氏(昭和28~52)が昭和36年頃に立案されたと聞いてます。とすれば62年前ということになります。大先輩方の残された遺訓に対して物申すのは失礼とは存じますが、現在においても色褪せることなく精彩を放つものです。私たちに日常勤務の心構えを諭す大きな言葉であると心に刻み次世代に引き継いでいく所存です。森陸次さんとは、10数年間一緒に働かせていただきました。私の印象に残っているのは、中肉中背というより痩身で小顔の白髪の紳士でした。治美組合長は文章もうまく誤字はありませんでしたが、むずかしい言葉や漢字を多用しかも読みにくい崩し字の殴り書きの達人でした。当時その文章や字を理解できる唯一の方が森さんでした。皆さんの森さんに対する評価は、謹厳実直、頭脳明晰、驕り高ぶりのない質素で謙虚で信頼のおける高い人間力を備えた賢人というものでした。振り放け見れば一瞬の思いが湧くと共に、残していかれた言葉と心と出逢いに感謝し学んでいきます。

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農協本所の朝礼