大山は「消滅可能性」にはならないぞ
令和6年NPC組合長エッセイ5月号
民間有識者でつくる「人口戦略会議」なるものがあるそうです。失礼ですが漫画的のようでもあり、戦略という難しい言葉も入っていて、私のような田舎の爺さんは戸惑う名称です。「戦略」という言葉を広辞苑で牽いてみると次のように解説されてます。「戦術より広範な作戦計画。各種の戦闘を総合し、戦争を全局的に運用する方法。転じて、政治・社会運動などで、主要な敵とそれに対応すべき味方との配置を定めることをいう。」爺さんには、更に理解不能となってしまいました。その人口戦略会議が4月24日に公表した地域の持続可能性を分析した報告書では、自治体の消滅危機が浮き彫りになってきてます。その報告書によると若い女性の減少で「消滅可能性」がある市町村は東京圏以外だと46%に、また東京23区など大都市では低い出生率となり、国内の人口減少改善の足かせとなっている。そのような現象が生まれ地方と都市の双方が大きな課題を抱えているとあります。しかも全国で744の自治体が「消滅する可能性がある」との報告発表でした。九州7県では全233自治体のうち、32%の76自治体が該当してます。大分県では県内18市町村のうち10市町村が該当してます。少子高齢化が進み先行きが心配されてましたが、このような数字が報告されますとほんとうに衝撃的です。もちろん各県や市町村単位で危機感とスピード感を持って対処しなければならないでしょうが、国政の中でも最重要課題と位置付けて国家の政策として対処していくべきと考えます。
私たち中山間の農村でも、大きな問題として最大限の対策が求められます。3年余り続いていた新型コロナウイルス感染症も5類感染症へと見直されました。またロシアは、隣国のウクライナに軍事侵攻してすでに一年半が経ってますが、いまだに非人道的行為の虐殺を続けて世界の国々を巻き込んでます。更に中東ではイスラエルとハマスの戦闘が勃発、加えてアラブの大国であるイランとも一触即発の危険信号が出ている情況です。そのような国際情勢の不安定さは、日本とは異なり世界人口の増加の一途もその背景にあります。更に頻繁に発生する地震や大雨や大旱魃といった異常が重なり、世界的に食料・エネルギー原料はじめ様々な物資の価格は高騰して各国々の資源獲得の国際競争は激しさを増しています。そのような情況で資源価格の高騰、金融の内外金利差等の影響で急激な円安が続けられており肥料・飼料・農薬等の原料や原油などの輸入価格が急騰しているため、物価は上り食料品など個人消費は全般にわたり減少してます。そして農業農村をめぐる情勢は少子高齢化による人口減少また農業従事者の高齢化と農業就業人口の減少など農村社会も解決すべき課題は山積しています。それでも、みんなで工夫して知恵を出し合い助け合っていけば農業には無限の可能性があります。私たちの大山は、知恵と工夫を出し合い楽しく豊かな未来を築いてきました。今回の「人口戦略会議」から報告発表された「消滅する可能性がある」市町村にはならないようこれからも皆で考え知恵を出し工夫を重ね明るく楽しい豊かな農村を次世代に引き継いでいきましょう。
中山間の大山ムラの農業