令和7年9月号組合長エッセイ
Dr.カキゾエ歩く処方箋
6月の初旬に8月8日(金)封切り『Dr.カキゾエ歩く処方箋~みちのく潮風トレイルを往く』のドキュメンタリー映画完成の上映記念パーティーの案内が届きました。
8日は午前10時から映画鑑賞のあとに、野澤監督と1025キロメートルを歩いた垣添忠生先生とのトークショー(対談する催し)と今回の出版本のサイン会があり、その後映画制作関係者や協力支援者など約70余名出席の記念パーティーとなってました。お盆前の多忙な時期ではありましたが、垣添先生には、言い表せ無いほど多面的ご教示ご指導を頂戴しています。ここで不義理をしては申し訳が立たないと参加することといたしました。
当日、日本航空1番機に搭乗した私は上映劇場、新宿武蔵野館にぎりぎり10時前に入館できました。映画鑑賞が終ってからの皆さんの姿は想像以上のものでした。感動のエンディングコールです。拍手が鳴り響き賞讃の声が彼方此方から聞こえてきます。それもそうでしょう、がんの専門家で国立がんセンターの中央病院長や総長を歴任し、さらに現在は名誉総長であり日本対がん協会会長を務めている82歳の垣添医師が「がんサバイバーを支援しよう」と書かれた幟旗を掲げて重たいリュックを背負い頭巾をかぶり、失礼な表現となりますが元気の良い農家のお爺さんのような恰好で3カ月にわたり1人で青森県八戸市から福島県相馬市まで1025キロメートルを歩く記録映画です。先生自身も50代で大腸がん、60代で腎臓がんを経験しています。奥様も甲状腺がんと肺腺がんを手術で治しましたが、3つ目の小細胞肺がんは僅か4ミリで発見をしたにもかかわらず治すことができず、1年半の闘病ののちに亡くしたと語ってます。先生は77歳の時、2018年2月から7月にかけて、九州がんセンターから北海道がんセンターまで全国の32のがん施設をやはり「がんサバイバーを支援しよう」という幟旗を掲げて2500キロメートルを歩いてます。
今回はその幟に「3.11を忘れない」の言葉を加え、がんサバイバーの支援と東日本大震災の被災者の心の傷に少しでも寄り添い支援の輪を広げたいと、冬の寒い日も、雨の日も、風の吹き荒れる日も、ひたすら歩き続けます。その中でいろんな人々との出会いがあり、その多くの人の声を静かに聞きながら語りかけます。「小さな希望があれば人は生きていける」と生きる力と希望という光明をお教えます。それが「歩く処方箋」と観ました。美しい潮風のみちのく(盤城・岩代・陸前・陸中・陸奥の古称)を歩く垣添先生も然る事ながら、映画を製作されたスタッフ皆様方の総合力の成果で、感動のドキュメンタリー映画に仕上ったものと思います。移り変る自然の美しさもよし、バックに流れる音楽もよし、優しさもあり、愛もあります。東日本大震災をも深く考えさせられました。2時間の上映時間もあっという間でした。記念パーティーでは私が一番遠方からの参加ということで1番先にお祝いの挨拶をさせられ、厚顔を顧みずに稚拙駄弁を述べました。そのような恥じらいの体験もしましたが、実りのおおい有意義な一日でした。この映画は日田市でも11月のはじめ頃には上映がはじまりますので、是非ともご覧ください。多くの方々の鑑賞をお奨めします。次回は垣添忠生先生と大山との出会いを綴ります。

日田リベルテで11月8日(土)より上映開始


